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    no.10
(南アフリカ・ケニア・タンザニア・ジンバブエ・ザンビア・ボツワナ)



(ボツワナ編)






10.チョベ川(ボツワナ)ボートサファリ・・・・サンセット・クル−ズ
 
9日目。今朝は十分に寝足りて7時前に起床。窓外には緑あふれる静かな景色が広がっている。今朝の空も好天のようだ。今日の午前にはビクトリアの滝があるビクトリア・フォ−ルズの町へ飛び、そこから国境を越えてボツワナに入り、そこを流れるチョベ川で夕暮れ時のボ−ト・サファリを楽しむ予定である。
 

ビクトリア・フォ−ルズへ
朝食を済ませて8時半にホテルを出発し、空港へ向かう。10時半にハラレ空港を飛び立った飛行機は西へ進路をとり、ボツワナとザンビアの国境に近いビクトリア・フォ−ルズへ向かう。約1時間の飛行で、あっという間に到着である。「Victoria Falls」と壁面に大きく書かれた空港タ−ミナルビルがあり、ここもこぢんまりと整っている。
 

晴れ渡った空の日差しは強く、暑い。早速、出迎えのバスに乗り込み、市内へ移動する。途中の風景は見渡すかぎり緑の樹林帯でジャングルになっており、その中を舗装整備されたきれいな道路が走っている。市内に近づくと、前方遠くに白い水煙が空高く舞い上がっているのが見えてくる。ビクトリアの滝しぶきなのだ。あの滝に近づいたのかと思うと、心は騒ぎ、はずんでくる。待て、待て、滝の見物は2日後なのだ。そう心に言い聞かせながら、はやる心をなだめにかかる。
 

コンパクトにまとまった町の中心部を通り抜けて、少し外れにあるインタ−コンチネンタル・ホテルへ向かう。おや、右手の見上げる空に大きなバル−ンが気持ちよさそうに浮かんでいる。あれはなんだろう? 聞くところによると、バル−ンに乗って上空にのぼり、そこから下界を見下ろして楽しむのだという。固定式で移動はしないらしい。滝が見下ろせるなら、これは値打ちものだ。後日の楽しみに取っておこう。そんなことを考えていると、バスは空港から約20分でホテルに到着である。
 

このインタ−コンチネンタル・ホテルは、なかなかのデラックスホテルで施設も充実しているようだ。フロントで尋ねてみると、日本人客の利用はけっこう多いという。恐らく、団体客が泊まるのだろう。ついでに宿泊料金を尋ねると、シングル……295米ドル、ダブル……328米ドルとなっている。やはり、ハイレベルである。
 

ホテルで昼食
早速、食堂へ入り、充実メニュ−のバイキング料理をいただく。食堂も広々と開放的で、開け放たれた広い窓からはザンベジ川を挟んで目にしみるような緑あふれる光景が展開している。眼下にはゴルフ場のグリ−ンが樹林の中に広がり、その向こうにはビクトリアの滝となるザンベジ川が流れている。なんともすばらしい景観で、ここは1級のリゾ−トホテルである。こんなアフリカム−ドあふれる雰囲気の中で、しばらく滞在したいものだ。このム−ドにひたりながら食べる昼食は、ひとしおうまいものである。 




 インターコンチネンタル・ホテルのダイニングルームの窓から眺めたすばらしいパノラマ景観。先方にザンベジ川の流れが光っている。




ふと見ると、一匹のモンキ−が窓枠の上に乗ってきょろついている。それを見つけたウェ−タ−がすかさず追っ払っている。そのユ−モラスな光景に誘われて、こちらもカメラを持って走り寄る。だが、すばしこいモンキ−は、すでに窓外の樹木の中へ姿を隠したあとである。窓の側まで迫って伸びた木の枝からつたって窓枠の上に飛び移るらしい。そして、テ−ブルの上の食べ物を狙うのだ。彼に様子を尋ねると、モンキ−たちがちょいちょいやってくるので油断ができないという。なんとも野趣に富む光景ではる。
 

ボツワナへ
食後の一服を済ませると、ボツワナ国境へ向けて出発だ。緑豊かな樹林の中を走る舗装道路を快適にドライブすること1時間半、そこで国境到達である。まず、ジンバブエの出入国事務所で出国手続きを済ませ、そして次に少し離れたボツワナの事務所で入国手続きを行う。両国とも窓口が込んでいないからいいようなものの、ほんとに国境通過はわずらわしくてしようがない。早く、世界は一つにならないものかなあ〜。
 

ただ、ここには救いがある。というのは、ボツワナの事務所の係官が、それはそれは愛想の良い女性で、われわれが外来の日本人と分かると、室内いっぱいに響きわたる明るい大声で、「ようこそ、いらっしゃい。お元気ですか?」と愛嬌を振りまくのである。なんと、それも日本語で挨拶するのだ! それも、一人ひとりに声をかけてくれるのである。そして、「ボツワナはいいところです。どうぞ楽しんでください。」と付け加える。なんとまあ、日本語のうまい陽気で明るい係官だろう。この歓待で、いっぺんにボツワナが好きになってしまう。窓口の応対は、ほんとに大事なものである。電話でも、会社の受け付けなどでも同じことだろう。  


ボツワナのこと
ここボツワナは、これもなじみの薄い国ではあるが、南アフリカの中では最も豊かな国といわれている。それはダイヤモンドの生産地として経済力をたくわえているからである。とはいうものの、交通機関は未発達で物価も高く、手頃な宿も少ないという旅行者泣かせの国でもあるようだ。この国は、その南側を南アフリカに国境を接し、西側はナミビア、北側はザンビア、東側はジンバブエにそれぞれ国境を接している。主要言語は英語とツワナ語となっている。
 

すっかり気を良くしてバスに乗り込み、ホテルへ向けて出発する。事務所からすぐのところでバスが急にストップする。「おや、何事だろう?」と首をかしげていると、「みなさん、降りてください。」という。なんと、靴底の消毒なのだ。下車してみると、一人の係員が道路の脇に消毒液を含ませたマットを敷いて待ち受けている。みんなは、その上に一人ひとりのって靴底を拭き清めるのである。国内に雑菌が持ち込まれるのを、この消毒で防ごうという作戦のようだ。道理で、バスに乗った最初の時から、かすかに消毒液の匂いが車内に漂っていたのだが、この消毒だったのだ。お国変われば品変わるで、いろいろ変わったことに出会うものである。
 

ホテルへ
ここから20分で今夜の宿泊ホテル、モワナ・サファリ・ロッジに到着。部屋の割り当てを待ちながら木陰の椅子に座っていると、早速、冷えたジュ−スのウエルカム・ドリンクが接待され、心地よく乾いた喉を潤す。ところで、このドリンクサ−ビスのコップには、とてもしゃれたミニ傘、それも日本の蛇の目傘が添えられており、その意外な演出にはっと目を奪われる。サクランボの実に傘の柄を突き刺し、その先をオレンジの切り身に刺し込んでコップの縁に立てているのである。おゝ、なんといきな計らいだろう。その素敵なアイディアに感動することしきりである。これは日本人客が来ることを考えてのことだろうか。これまでの疲れが、この心づくしですっかり癒やされてしまう。
 





しゃれたミニ傘が添えられたウェルカムドリンク









だが残念なことに、最後のほうで受け取った私のコップには、そのミニ傘が省略されて付いていないのだ。それを記念に欲しかった私は、早速「どうして、このコップには付いていないの? 私も欲しいのだけど……。」とサ−ビス係に注文をつけると、「あなたも欲しいですか?」と逆に質問してくる。そこで、「もちろんですよ!」と返事すると、「ちょっと待ってください。」といって立ち去って行く。忘れたころになって、やっと傘が届く。傘が付いていなかった2、3のコップの分を持って来てくれたのだ。「ありがとう。」といって1本をもらい、記念の品に持ち帰る。
 

バオバブの大木
ジュ−スで喉を潤しながら、ふと目の前を見ると、すごく幹周りのでかい大木が中庭を占拠するようにドカ〜ンと突っ立っている。こんなでかい幹の大木は、これまでお目にかかったことがない。やはりアフリカならではの大木である。幹の周りは優に4mはあるのだろうか。そこで興味がわき、近くのホテルマンに「この木の名前は何というのですか?」と尋ねると「バオバブ」という名前を教えてくれる。念のために、そのスペルを要求すると、「Baobab」と書いてくれる。さらに、「何年ぐらい経っているのですか?」と尋ねると、よく知らないらしく、奥へわざわざ聞きに行って戻って来ると、「約1000年だそうす。」という。なるほど、さもありなんという感じの大木である。このロッジのシンボルの木になっているようだ。
 







 バオバブの巨木
 樹齢千年?














ル−ムキ−が渡されると、それはB5サイズに近い大きな紙封筒に入っている。こんなのは珍しい。表を見ると、氏名とル−ムナンバ−が印刷されていて、なかなか感じがいい。そして、その下にこんな文句が英文で印刷されている。 

  モワナへようこそ、アフリカン・スタイルで心から歓迎いたします。
  神秘の絶えないロッジ、ここはバオバブの巨木があなたを不思議
  の国へいざないます。

 

割り当てられた部屋は、相変わらず一番端に近い場所で、フロントからかなり離れている。それも今ではあきらめの境地なのか、そんなものかと慣れてしまったようだ。4時のボ−トサファリの時間まで、しばしの休息である。ここはチョベ川のほとりに建つリバ−サイド・ロッジなのだが、この部屋からは川の風景は眺望できない。恐らく、リバ−・ビュ−の部屋は、料金が1ランク上の部屋になるのだろう。
 

サファリの時間が近づいたので、集合場所のバオバブの木の前に行ってみる。ロビ−を見るとフロントが暇そうなので、今のうちに宿泊料金を聞いておこう。そこで尋ねてみると、シングル……250米ドル、ダブル……255米ドルという。けっこう高い料金だ。
 

ホテルウーマンと雑談
ついでに、彼女と雑談を始める。「失礼ですが、まだシングルですか?」「えゝ、まだ結婚はしていません。」「じゃ、ボ−イフレンドがいるんでしょう?」「えゝ、いますよ。」とにっこり笑いながら応答する。「時々デ−トするんですか?」「それが、なかなかできないんですよ。彼は隣国のジンバブエの人なんです。」「おやおや、それは遠いですね。そんな隣国の彼と、どんなきっかけで出会ったのですか?」「たまたまジンバブエで開催された仕事の会合に出て知り合ったんです。」「じゃ、電話でたまには話をするんですか?」「えゝ、電話はたまに掛けるだけです。その代わり、インタ−ネットでEメ−ルの交換を毎日やっています。」「へぇ、じゃ寂しくないですね。時には電話で彼の声も聞けるし、便利な時代ですね。」「実は今、彼がこのロッジに用向きで来ているところなんです。」「ワオ〜、それじゃ、こころ浮き浮き、そわそわですね。デイトのチャンス到来じゃないですか!」「えゝ、今夜は仕事が終わったら一緒に食事することにしてるんです。」などと、嬉々としながら話して聞かせるのである。当てられること、はなはだしい。それにしても、この国でこんなにも気軽にEメ−ル交換がなされているとは意外である。会社のを使っているのか、自己所有のパソコンを利用しているのか聞き損なってしまった。
 

チョベ川サファリ
チョベ川サファリの時間となる。一行は、ロッジの裏手にある川岸に向かい、小さな桟橋から小型ボ−トに乗り移る。隣に大型船がとまっているのを見て、だれかが「そちらのほうがいいのに……。」と注文をつけると、案内役の係員が「小型船が速いし、小回りがきいていいんですよ。」と諭している。それを聞いて、みんなも納得し、いざ出発となる。さて、どんな動物たちに会えるのだろうか。
 

桟橋を離れたボ−トは、まず川下に向かって走り出す。かなり広い川幅である。やがて支流にさしかかり、スピ−ドを落として進むと、その前方の樹林の中に枝を大きく広げた大木の下で停止する。途端に、ぷ〜んと鼻をつく悪臭が漂ってくる。見上げると、その大木がサギらしい鳥の巣になっているのだ。そして大部分の枝葉が糞害によって茶色に染まっている。今は留守のようだが、間もなく帰巣するのだろう。






チョベ川の支流















巣くった鳥の糞で茶色に変色した樹木









今度は向きを変えて川上のほうへ移動する。船尾から眺めると、傾きかけた陽光に映えるチョベ川の穏やかで美しい光景が目に入り、旅人の心を和ませてくれる。






チョベ川の穏やかな風景










やがて、われらがロッジの前を通過する。こんなに川岸に建っているが、増水の際には水害は大丈夫なのだろうか。
 





宿泊したロッジ
下の桟橋からボートが出る。








さらに進んで行くとスピ−ドを落とし、川岸のブッシュの中に突っ立っている樹木の側へゆっくりと近づいて行く。いたっ! イグアナだっ! 初めて見るイグアナの姿に、みんな釘付けである。斜めに伸びた木の幹に沿って体を休めている。長い尻尾を垂らしながら悠然として動かない。彼らは何を食べて暮らしているのだろう。
 





木の幹に這うイグアナ











すぐ近くへ移動してみると、今度は珍しい光景に出会う。上を見上げると、大きな木の枝先に無数の鳥の巣がぶらり、ぶらりと風に揺られながらぶら下がっている。まるで、ワラ作りの風鈴の展示会場みたいな感じである。普通、鳥の巣は枝などに直接取り付けて作るものだが、この巣は枝から40〜50cmほどの長さにヒモを垂らし、その先に巣籠を上手に作ってぶら下げている。木の枝自体が風に揺られて不安定だろうに、この巣はさらに風の間に間に揺れ動くことになる。微風の場合はいいだろうが、強風の時はどうなるのだろう。この風変わりな巣を見上げながら、そんな心配事に心を痛める。これが何の鳥の巣だか忘れてしまった。
 





風鈴のようにぶら下がる鳥の巣










ボ−トはしばらく走って、入り江の中へ入って行く。すると奥まったところに、ウォタ−・リリ−(睡蓮)が一面に葉っぱを広げた水面が現れる。そこには、ちょうど今、可憐な花がいっぱいに咲き誇っている。ある人物が、このウォタ−・リリ−をここに移植したのが、今ではこれほどまでに繁殖したのだという。
 






咲き誇る睡蓮の花









ここからさらに移動して、川中に茂る葦の間を通り抜けていると、おや? 今度はカバさんの出現だ。2頭のカバが水面から目だけを出して遊んでいる。






カバさん、もっと顔見せて・・・。









こんなところに、ワニもいそうなものだが、なかなか出会わない。そこでキャプテンに「この川にはワニもいるんですか?」と尋ねると、もちろんいるという返事。果たして、うまく出会えるのだろうか。
 

次のポイントへ移動して、また川岸に立つ樹木の側にボ−トを止める。あっ、今度もイグアナだっ。こいつは前のよりもずっと大きいぞ。川面に伸び出た樹木の幹に、デ〜ンと大きな体を横たえている。やはり、この木の枝にも、例の鳥の巣がぶら下がっている。イグアナが住みつく樹木の近くには、この鳥の巣があるところをみると、どうも、彼らは共生しているのかもしれない。
 





大型のイグアナ











その後は再び岸辺に沿って走り下り、ウォッチングを試みる。時折、ワシに似た鳥や野鳥に出会うが、ワニ君の姿はどこにも現れない。さらに進んで行くと、川岸にバファロ−の群れが出現。彼らは、これまでにうんと見てきているので、さほど目新しさがない。ここにはゾウが多いはずなのだが、その姿も見えない。乾季になれば、川沿いに水飲みに集まるそうだが、今の時期は雨季の終わりかけで、内陸部でも水に不自由しないのだろう。
 

バッファロ−のウォッチングを終わると、その下流でボ−トは岸辺に着船し、みんな上陸して小休止となる。ク−ラ−ボックスで冷やしたジュ−スを飲みながら、チョベ川のサンセット風景を楽しむ。どちらが川下か、川上か分からないほど、川面は静かに流れている。
 

憩いのひとときを終わると再び乗船し、ロッジへ引き返し始める。ウォッチングしながら、いつの間にか、ずいぶんと遠くまで来ていたようだ。ボ−トはスピ−ドを上げながら、鏡のように静かな川面を切り裂くように突っ走る。ロッジに近づくころには、すっかり夕日も落ちて、夕闇迫る空の彼方に夕焼け雲がたなびいている。なんとも美しい、静かなアフリカの夕暮れ風景である。
 





チョベ川の夕暮れ風景
アフリカの夕焼けが美しい。








それにしても、ゾウやワニの姿が見れなかったのは残念である。乾季には、また違ったチョベ川の様子が見られるのだろう。動物ウォッチングの成果の点からみれば、2時間半もかけた割りには、今日のクル−ズはやや寂しい結果となる。しかし、チョベ川を渡る夕風を全身に受けながらのクル−ズは、アフリカならではの醍醐味を十分に満喫させるものである。
 

オープンのダイニングルームで夕食
午後の4時から始まった2時間半のボ−トウォッチングを終えると、7時半の夕食までひと休み。その間にシャワ−を浴びて気分爽快となる。時間になって食堂へ出向くと、軽やかなアフリカン・リズムのメロディが流れている。おゝ、なんという心地よさ。これはマリンバの音ではないか。この食堂は庭に面したオ−プンスタイルの食堂である。その入口に陣取って3人の黒人演奏家がリズミカルにマリンバを奏でている。思わず「ナイス ミュ−ジック!」と声を掛けながらカメラを取り出し、写真を撮らせてもらう。





マリンバの響きにうっとり










終始、素敵なマリンバの音が響き渡るガ−デンの中で、ビ−ルを傾けながら食するディナ−は最高の気分である。アフリカン・ム−ドがいっぱいにただようこの場の雰囲気に、どっぷりと呑み込まれてしまう。なんとも素敵なアフリカン・ナイトである。そのム−ドに酔ったのか、床に就いたのは9時半のことである。



(次ページは「チョベ国立公園サファリ編」です。)










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