写真を中心にした簡略版はこちら→ 「地球の旅(ブログ版)」






    no.
(南アフリカ・ケニア・タンザニア・ジンバブエ・ザンビア・ボツワナ)


(ケニア編)






3.ナイロビからナクル湖へ・・・・悪路の走行・大地溝帯・フラミンゴの
   大群


ケニアへ 
3日目。今日はケニアへ移動の日である。南アフリカからジンバブエ、タンザニアを越えて北上するわけだ。朝9時発の飛行機に乗るため、今朝は早起きで5時半起床。ぐっすり眠ったので気分は爽快。6時半には朝食を取って7時にホテル出発である。国際便なので早いチェックインが必要なのだ。目と鼻の先のヨハネスブルグ空港出発ロビ−に行くと、この時間帯の便は少ないのか、人影はまばらでひっそりとしている。
 






ヨハネスブルグ空港の出発ロビ−










予定どおり9時に飛び立った南アフリカ航空機は、4時間かかって現地時間の午後2時、ケニアの首都ナイロビ空港に到着。






上空から見たナイロビ空港付近の市街










サファリの旅へ
時差は日本より6時間遅れとなっているので、時計の針を1時間早めることになる。機内放送では気温24度で曇りということだが、外に出るとむんむんと暑い。雨を心配していただけに、これは助かった! 出迎えのサファリ−・カ−2台に6人ずつ分乗し、いよいよサファリの旅へ出発である。しかし、目指すナクル湖国立公園は夕暮れに到着予定なので、今日のところは、まだ本格的なサファリはできない。
 

ケニアのこと
ここケニア共和国は、人口2800万人、国土面積は約58万kuで日本の1.5倍。優秀なマラソン選手の多いことでも知られるなじみの国である。この国は東アフリカで最も豊かで安定している国といわれ、その豊かな大自然と気候に恵まれ、野生動物の天国として「野性の王国」とまで呼ばれている。野性動物の豊かさでは隣国のタンザニアの方がはるかに勝っているのだが、観光客の数は圧倒的にケニアが多い。それは豊かな自然をそのままに残し、それを観察できる環境整備にいち早く当たったからで、それに加えて首都ナイロビが東アフリカの空の玄関口となっているためでもある。
 

この国が赤道直下であるにもかかわらず、平均気温が10〜28度としのぎやすいのは、標高1700mの高原であるためだ。言語はスワヒリ語が国語、英語は公用語で、宗教はキリスト教が半数以上を占めており、海岸地方にはイスラム教徒やヒンズ−教徒もいる。主な産業はコ−ヒ−、紅茶、石油精製、観光などである。
 

一行が分乗した2台のサファリ−・カ−は、雑踏するナイロビ市内を素通りして郊外へと向かう。ようやく雑踏を抜けると広々とした草原が広がり、早速キリン2頭が遠くに姿を現し、歓迎するかのように首を振っている。車内は一気に気勢があがる。みんな野性のキリンを見るのは、これが初めてだからだ。
 

ナクル湖への道
これから先の行程が長い。ナクルへの道は遠く、このくるまで3時間のロングドライブである。バスや乗用車とは違うのでクッションは悪く、悪路を走る振動がもろに体に伝わってくる。まるで、骨の髄から打ち砕かれるようなすさまじい振動で、揺れが大きい時は、思わす悲鳴をあげたくなる。一応、舗装道路にはなっているのだが、日本の道路と違って路面が滑らかではなく、時には穴ぽこまで空いているのでガタピシと振動する。それも時速120〜140kmでぶっ飛ばすのだからたまらない。日本でいえば、整備の悪いやや広めの一般国道を、そのスピ−ドで突っ走るようなものである。行き交うくるまは割りに少なく、出会うのはトラックが多いのだが、こんなに高速で飛ばして大丈夫なのかと心配になってくる。
 

添乗員さんは別のくるまに乗っているので、頼りない私がドライバ−との通訳をまかされることになる。高速で飛ばすドライバ−が時々説明するのを聞いて、みんなに伝えたり、質問があればドライバ−の背後から、時々大きな声で話しかける。「ナクルまで、どのくらいかかるのですか?」と尋ねると「約3時間です。」という。そうすると、2時過ぎにナイロビを発ったので、ナクル到着は5時半ぐらいになりそうだ。それなら夕暮れになってフラミンゴは見る間があるのだろうか。そこで、ちょっと心配になり、「今日、フラミンゴの大群は見れるんですか?」と質問する。すると「えゝ、見れますよ。」という返事。「サンセットの時間は何時ですか?」、「6時前です。」 これだと、ぎりぎりの時間になる。それもあって、こんなに飛ばすのだろうか。
 

2時間ほど走ったところで、トイレ休憩である。そこは簡素な建物のみやげ品店になっており、「ジャンボ(スワヒリ語で、こんにちは)」と声をかけながら降りていくと、男性の店員たちが待ち構えたようにセ−ルスに精を出す。トイレ休憩は、みんなこのみやげ品店になっている様子で、恐らく現地旅行社とタイアップしているのだろう。店の内部に入ると、倉庫みたいな空間にびっしりと木彫りの民芸品が並べてあり、その様子は壮観である。それも背丈より大きい物から、掌にのる小さなものまで様々で、ほとんどが野生動物やお面の彫りものである。それらは見事な彫り物で、大きいのになると数万円、数十万円もするのだから驚く。この在庫量から推定すると、相当な時価総額に上るのだろう。ここでは、ただ見るだけにとどめておこう。 


店員たちのしつこいセ−ルスを振り払うようにしてくるまに戻る。彼らはセ−ルスしながら、「ジャパニ−ズ・ペンは持たないか?」とよく質問する。どうも、ボ−ルペンに興味があるらしい。この様子だと、ペンを持参して値切りの手段に使えるかも知れない。そんなことを考えているうちに、くるまは丘陵地帯を上り始める。地球の裂け目グレ−ト・リフト・バレ−(大地溝帯)に差しかかったのだ。はるか彼方に、反対側のバレ−の稜線が霞んで見える。目指すナクル湖は、この大地溝帯の中に広がる湖で、フラミンゴの大群が生息していることで有名である。やがて左手向こうに大きな湖が見えてくる。これがナイバシャ湖で、明日はここでボ−ト・サファリをする予定である。どんな風景と動物たちが見られるのか、期待に胸がふくらむ。 






遠くにナイバシャ湖が見える。










ナクル湖国立公園
休憩場所から1時間のドライブで、やっとナクル湖国立公園ゲ−トに到着である。全身をゆさぶるくるまの振動に耐えながら、やっとのことで到着である。ここでドライバ−がくるまの天蓋屋根を押し開けてサファリ態勢に入る。日はすっかり傾き、日没が迫っている。それでも、どんな動物たちと出会うのか胸わくわくである。
 

ここナクル湖は大地溝帯の中にある湖で、片側の側面には低い山が広がり、湖の周囲は樹林帯で囲まれた美しい湖である。湖水はソ−ダ性のため藻のたぐいや軟体動物、小さな甲殻類のプランクトンなどが生息しており、したがって、それらを餌とするフラミンゴが集まることになる。だからその条件が整ったソ−ダ湖をフラミンゴは渡り歩いて生活しているという。
 

入場ゲ−トを通り抜け、いよいよ地道に入って行く。草原を通り抜けていると、左手に1頭のガゼルが現れて、まず最初のご挨拶。みんな疲れも忘れて腰を浮かしながら目をこらしている。次に現れたのはインパラ(鹿によく似ているがウシ科)の群れ、そして今度はキリン3頭のお出ましだ。みんなわいわいいいながら撮影に夢中になる。
 





インパラの群れ










次はウオ−タ−バック(これも鹿に似ている)、そしてバッファロ−が出現。しかし、これらの動物はまだ数も少なく見応えもしないので、後日の写真に譲るとしましょう。では、先へ急ぎましょう。草原を通り抜け、今度は樹林の中をどんどん湖の方へ進んで行くと、木の間からナクル湖が見えてくる。樹林を抜け出ると広い干潟になっている。遠い岸辺に何やらピンク色の細い帯が見える。ん? これがフラミンゴの群れなのかな? そう思っているうちに、くるまはどんどん干潟の中を岸辺の方へ進んで行く。海の干潟に似た匂いが辺り一面にただよっている。




 遠くに見えるピンク色の帯がフラミンゴの群れ





圧巻! フラミンゴの大群
岸辺に近づいて見ると、その渚というなぎさは見渡すかぎり淡いピンク色に染まってうごめいている。これがフラミンゴの大群集なのだ。う〜ん、なんと壮観な光景だろう! 感動の一瞬である。何かピンク色の膨大なゴミが岸辺に打ち寄せられて集まった感じである。その自然の動物が織りなす景観の壮大さに一瞬息をのむ。よく見ると、遠く向こう岸にもピンク色の帯が見える。どういうわけか、彼らはみんな岸辺にのみ集まっていて、湖の中央部分は静かな湖面が広がっている。その岸辺に餌が多いのか、それとも浅い水面で、あのスマ−トな長い足で立つためなのだろうか。とにかく、これがテレビや写真でよく見かけるフラミンゴの大群なのである。期待していただけに、念願がかなって、こんなうれしいことはない。だが欲をいえば、こんな日没寸前ではなく、もう少し太陽光の明るい時間帯に見たいものだ。恐らく、陽光に映えればもっと鮮やかなピンク色が見られるに違いないのだ。 




 見渡すかぎり渚を埋め尽くしたフラミンゴの大群は見る者を圧倒する。実に壮観な光景である。向こう岸にもフラミンゴの群れが見える。




ナクル湖のフラミンゴは季節・気候などによって移動するため、その増減が激しいそうで、過去には最大200万羽を超えたといわれている。これらの大群にまじって、真っ白なペリカンの群れも少々見られる。彼らの編隊飛行が、これまた美しい。この写真で、その様子がお分かりいただけるだろうか。
 





空に舞い上がって円を描きながら編隊飛行するペリカンの群れ。







みんな、開いた上窓から体を乗り出すようにしながら、ひとしきりフラミンゴの大群をカメラに撮りおさめると、くるまは干潟から引き上げ、再び樹林の中へ走り去る。もう辺りは薄暗くなり始めている。これから、今夜の宿となるロッジへ向かうのだ。と、突然くるまがストップする。なんだろうと前方を見ると、ヒヒの群れが路上に群がって行く手を塞いでいる。ここでまた、みんな撮影開始である。






薄暗くなった路上にヒヒの群れが出現









ようやく彼らが引き上げたところで、再びくるまは走り出す。間もなくすると、ドライバ−がくるまを止めて木の上を指さしている。ふと見上げると、1羽のふくろうが木の枝にとまっている。「森の賢者」が夜のハンティングにお出ましなのだ。
 

ロッジへ
暗くなった道をしばらくガタピシと揺られながら走ると、ようやくロッジ到着である。ここは湖のすぐ側近くにあるサロバ・ライオン・ヒル・ロッジで、ナクル湖公園内の大自然のまっただ中にぽつんと寂しく建っている一軒家である。周囲の園内区域外は危険なので、外に出ないようにとの警告看板が立てられている。野性の動物たちがうろついているのだろう。
 





宿泊したライオン・ヒルのコテージ
(翌朝撮影したもの)









チェックインを済ませてキ−をもらい、それぞれの部屋へ散らばる。が、わがル−ムは、行けども行けども着かない遠い果てなのだ。名前に“ロッジ”とあるように、幾つかのコテ−ジが分散して建っている。だから、ル−ムナンバ−の案内板を見ながら外の道をてくてく歩くことになる。割り当てられた部屋は、フロントから一番遠く離れた最果てのコテ−ジにあるのだ。ブラジル旅行の時もそうなのだが、どうも独り者はカップルよりも冷遇されるようだ。
 

ようやく部屋を探し当てて中に入ると、真っ暗闇でなかなか電源スイッチが見当たらない。普通あるべき場所にないのである。壁を手探りしながら、やっと洗面室のスイッチを見つけて点灯する。が、メインのル−ムライトのスイッチが見当たらない。くまなく探しても分からない。やむなく外を通りかかったスタッフを導き入れて点灯してもらう。なんと、カ−テンの背後になって意外な所に隠れていたのである。その付近もずいぶん探したのだが、及ばなかったわけだ。ロッジということで、あまり良い設備ではない。バスル−ムを見ると、バスタブはなく、ただのシャワ−のみで簡素なものだ。ベッドの上には吊り蚊帳が用意されているところをみると、蚊や虫が出現するのだろうか? これは要注意だぞ。マラリアの予防はしていないのだから……。
 

開放的な食堂
夕食時間になって食堂へ出向く。街灯の点いた薄暗い夜道をとぼとぼと歩いていく。電気が消えたら、どうなるのだろう。そういえば、部屋にはロ−ソクが用意されていたのだが……。食堂は自然の木材でしつらえられたム−ドのある造りで、暗くて外部は見えないが開放的な感じである。そこでテ−ブルを囲み、みんなで食事が始まる。今夕の食事はコ−ス料理で、サラダに始まり、メインはポ−クである。ビ−ル(小ビンで$2)を取って、ロングドライブで疲れ乾いた喉を潤す。冷えたビ−ルは、どこのもうまい。
 

食後の一服をしていると、どこからともなくアフリカン・ドラムの響きが伝わってくる。そうだ、いまアフリカの大地の中にいるのだ。なんともいえないアフリカン・ム−ドがただよってくる。これがアフリカなのだ!……といわんばかりの雰囲気である。フロント下の野外ステ−ジで、今からアフリカン・ダンス・ショ−が始まるという。ドラムの音は、その予告なのだ。 


そこへ行ってみると、上から見下ろす段下の野外ステ−ジがあり、一人がすごいテクニックでドラムを叩いている。でも、まだ本番前で、いま開演の準備中なのだ。ステ−ジを見下ろすガ−デンに並べられた椅子にゆったりと腰掛けながら始まりを待つ。ステ−ジのコ−ナ−では焚火が燃やされており、そこで大小のドラムを火にかざしている。皮張りの面を火にあぶっているのである。これで湿気を取り除き、鼓面の張りをよくするのだろう。
 

アフリカン・ダンス・ショー
いよいよショ−の始まりである。顔に装飾の化粧を施した女性のダンサ−たちがステ−ジの横から登場し、数人の男性たちが打ち鳴らすドラムや打楽器のリズムに乗って腰振りダンスを踊り始める。ハワイのフラダンスとは違う独特の腰の振りや身のこなし、それに歌も加えて踊るのである。素朴さの中にアフリカの土の匂いが感じられるダンスである。これが初めて見るアフリカのダンスなのだ。メンバ−は同じだが、曲や衣装を変えてダンスを見せてくれる。どれも、さほどの変化は見られず、わりと単調なのが特色である。
 





焚き火を燃やしながらアフリカン・ダンス・
ショー









ステ−ジの片隅をふと見ると、「チップ・ボックス」と書かれた小箱が置かれている。ちゃっかりと、抜目がない。ショ−はまだ続きそうなのだが、今日はハ−ドなドライブで疲れているので、「チップ・ボックス」に1ドルを入れて早めに引き上げることにする。
 

吊り蚊帳で睡眠
再び薄暗い路地を足下に注意しながら部屋へ戻り、シャワ−を浴びて就寝の準備。洗面に水を張ってみると、なんと茶色っぽい水ではないか! よく浄化されていないようだ。湖の水を引いているのだろうか? だが、この公園の環境の中では、ぜいたくはいえない。水とお湯が出る上に、トイレだって水洗なのだから、ありがたく思わなくては……。後は、持参の虫除けスプレ−を手や顔にたっぷりと振りかけ、吊り蚊帳を広げてベッドを包み、どっかりと横たわる。すさまじいばかりのロングドライブに疲れた体は、寝入るのに数分とかからない。動物の泣き声も聞こえない意外と静かな夜である。









 吊り蚊帳でベッドを包む。

















(次ページはナクル湖のサファリやナイバシャ湖のサファリが見られます。)












inserted by FC2 system